「フルタイムで働くのがこんなにきついなんて…。」
そう感じているシングルマザーの方は少なくありません。
家事・育児・仕事のすべてを1人で背負う生活の中で、疲れや限界を感じるのは当然のことです。
この記事では、2025年4月時点の支援制度や就業環境をふまえながら、シングルマザーがフルタイム勤務で直面しやすい“きつさ”の原因とその対処法を詳しく解説します。
- シングルマザーのフルタイム勤務は約4割、就業率は80%超
- 放課後や夕方に集中する負担が「きつさ」の原因
- 働き方の見直しと外部支援の活用が負担軽減の鍵
- 支援制度や相談窓口を知っておくことで孤立を防げる
お好きなところからお読みいただけます
シングルマザーがフルタイムで働く現実と「きつさ」の正体とは?
シングルマザーのフルタイム就業率と社会的背景
厚生労働省が2021年(令和3年)に公表した「全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、母子世帯の母親のうち、約44.2%が正規雇用(フルタイム)で働いていることがわかっています。
非正規雇用やパートを含めた就業率は80%を超えており、多くのシングルマザーが何らかの形で家計を支えている状況です。
このような高い就業率の背景には、以下のような要因があります。
養育費の受け取り率が4人に1人程度にとどまっている
公的支援だけでは生活費や教育費を十分に賄えない
将来を見据えて正社員やフルタイム勤務を希望する声が増えている
つまり、フルタイムで働くことは生活の安定だけでなく、子どもの将来や自分自身の自立に向けた現実的な選択でもあるのです。
ただし、ワンオペで家事・育児・仕事を担う負担は大きく、「働けている=困っていない」ではないという点には注意が必要です。
フルタイム勤務がきついと感じる主な理由とは?
「フルタイム勤務がきつい」と感じるのには、明確な理由があります。
以下はよく挙げられるシングルマザー特有の“きつさの要因”です。
主な要因 | 内容 |
---|---|
家事・育児のすべてを1人で担う | 物理的な時間不足と精神的負担が重なる |
急な休みに対応できない | 子どもの体調不良や行事への対応が常にプレッシャーに |
休む=収入ダウンのプレッシャー | 欠勤が評価・給与に直結する職場環境も多い |
孤立感と情報不足 | 頼れる相手がいない、相談先が見つからない |
特に、朝から夜まで緊張感が抜けず“気を抜く時間がない”ことが慢性的な疲れを生み出します。
この状態が続くと、心身ともに限界を迎えやすくなります。
「疲れた」と限界を感じるタイミングと症状
多くのシングルマザーが「もう無理かも…」と感じる瞬間には共通点があります。
毎朝のバタバタに始まり、仕事中も子どものことで電話が鳴る
帰宅後すぐ夕飯・宿題・お風呂・洗濯…とやることが止まらない
寝かしつけの後、自分の時間はゼロ。気がつけば眠ってしまう
誰にも愚痴をこぼせず、ただ疲労と不安が蓄積される
こうした状態が続くと、以下のような症状が現れることもあります。
朝起きられなくなる(軽度のうつ症状)
仕事中に涙が出る・頭がぼーっとする
些細なことでイライラが爆発する
子どもにきつくあたってしまい、自己嫌悪が増す
小学生の子どもがいる場合の放課後の負担
シングルマザーがフルタイムで働いている場合、小学生の放課後時間をどう過ごさせるかが大きな課題になります。
学童保育の定員不足や時間制限(17時・18時終了など)
学童終了後に子どもが1人で留守番する時間帯の不安
長期休暇中の預かり保育の確保、弁当作りや送迎の負担
特に学年が上がると学童を利用できなくなる自治体も多く、「小3の壁」が現実のものとなります。
また、子どもにとっても
誰にも話しかけられない「孤独な時間」
ルールなく過ごす自由さが逆にストレスになる
といったことがあり、親子双方にとって消耗の時間帯となりがちです。
帰宅後の夕飯準備が「最後の山場」になる現実
フルタイム勤務を終えて帰宅したあと、夕飯の準備が“1日の最後で最大の山場”という声は少なくありません。
特に以下のような状況が重なると、精神的にも肉体的にも限界を感じやすくなります。
子どもが空腹で不機嫌な中で調理を開始
献立を考える余裕もなくレトルトや惣菜に頼りがち
食後すぐに洗い物、風呂、宿題の確認とノンストップ
加えて、食費と栄養バランスの両立という現実的な課題もあり、「どうしてこんなに頑張っているのに疲れが取れないのか」と自己否定感に陥ることも。
このような夕方〜夜の時間帯は、シングルマザーの生活において最もサポートが求められる部分のひとつといえます。
シングルマザーが正社員でいることのメリット・デメリット
正社員で働くことには、収入の安定や社会保障の充実といった大きなメリットがありますが、シングルマザーの場合は負担とのトレードオフになる場面も多いです。
正社員のメリット
毎月の収入が安定して家計が組みやすい
社会保険・厚生年金など将来の安心につながる
キャリアアップや昇給の機会がある
雇用が比較的安定している
正社員のデメリット(特にシングルマザーの場合)
労働時間が長く、家事・育児との両立が難しい
急な休みや早退が評価に響く職場もある
転職・退職がしづらく柔軟性に欠ける
子どもの病気などで有休がすぐに尽きる
また、「正社員=安心」というイメージが強い一方で、実際には収入と負担のバランスが崩れてしまうケースも少なくありません。
このため、正社員で働くべきかどうかは、手当や支出、家族構成を含めたトータル判断が重要です。
正社員になるタイミングはいつがベスト?
シングルマザーにとって「正社員になるタイミング」は非常に悩ましいテーマです。
以下の要素が重なったときが、転職や就職を本格的に検討する“現実的なタイミング”といえます。
子どもが小学校に入学し、保育料の負担が軽くなった
学童やファミサポなど、放課後の預かり体制が整っている
自身の体力やメンタルがある程度安定している
資格や職歴の蓄積により、希望する職種への道が開けた
逆に、以下のようなケースでは慎重な判断が求められます。
子どもが未就学で頻繁に体調を崩す時期
預け先が見つからず急な欠勤リスクが高い
支援制度を大幅に失うことで可処分所得が減る可能性がある
重要なのは、年収だけでなく“時間的・精神的コスト”も含めた総合的なバランスで判断することです。
フルタイム勤務が家計に与える影響とは?
フルタイム勤務になると収入は増える一方で、支援制度の減額や生活コストの増加に注意が必要です。
実際に起こりうる変化を以下に示します(2025年4月制度対応)。
項目 | 増える or 減る | 内容例 |
---|---|---|
収入(給与) | 増える | 月収20〜25万円前後が一般的 |
児童扶養手当 | 減る〜停止 | 年収130万超で減額、365万円以上で支給停止 |
住民税・所得税 | 増える | 非課税枠を超えると課税対象 |
医療費助成・保育料軽減 | 終了する場合も | 自治体によるが課税世帯になると対象外になることも多い |
通勤・外食・学童費 | 増える | 想定以上の支出が月に1〜2万円発生するケースも |
このように、収入が増えたからといって手取りが大きく増えるとは限らないのが現実です。
参考記事:▶️ シングルマザーは年収いくらが得?手当が減らない収入ラインは?
年収別・支援別で見た「家計の損得ライン」比較
以下はフルタイム就労に多い年収帯(200万〜500万円)のシングルマザーにおける、支援制度の影響を簡易にまとめた早見表です。
年収(目安) | 児童扶養手当 | 住民税 | 医療費助成 | 保育料軽減 | 総合的評価 |
---|---|---|---|---|---|
200万円未満 | 満額〜一部支給 | 非課税 | 多くの自治体で対象 | 高い軽減率あり | 支援多く生活安定 |
250万円前後 | 一部支給 | 課税 | 自治体により異なる | 軽減あり | 支援と収入のバランスが重要 |
300万円台 | 支給終了〜一部 | 課税 | 支援対象外が増える | 通常料金化 | 生活コスト増に注意 |
400万円以上 | 対象外 | 課税 | 対象外が多い | 上限料金 | 完全自立が前提 |
この表からも分かるように、年収と支援の境界線は“徐々に失われていく”ため、計画的な移行がカギになります。
きつい・疲れたと感じた時の対処法と賢い働き方の見直し方
まずは「やらないことを決める」タスクの整理術
フルタイムで働きながら家事・育児をこなすシングルマザーにとって、時間と体力は最も貴重な資源です。
だからこそ、「全部やろう」とするのではなく、“やらないことを明確に決める”ことが最初の対処法になります。
実際に見直しやすいタスクの例
毎日掃除 → 週2〜3回で十分
手料理にこだわる → 惣菜・冷食・ミールキットを活用
洗濯物をたたむ → ハンガー収納や家族別カゴで済ませる
毎晩のお風呂掃除 → 週末まとめて実施 or ついで掃除で対応
タスクリストを書き出して、「今本当に自分がやるべきこと」かを見極めるだけで、頭の中も生活も整っていきます。
夕方〜夜の時短ルーチンの見直し(炊事・洗濯・宿題)
「夕方〜夜」は、一日の疲れがピークに達する時間帯。
ここをいかに効率化できるかで、翌朝の気持ちが大きく変わります。
時短の具体例
【夕食】週末に副菜を冷凍 → 平日は主菜だけでOKに
【洗濯】干す→たたむの代わりに「乾燥機→そのまま引き出し」
【宿題】親が見ないとやらない子には「タイマー法」や「ご褒美シール」で自発性を促す
また、洗濯や夕食準備の時間帯にYouTubeで自分の好きな音楽や声を流すだけでも、気持ちが楽になるという声も多く聞かれます。
フルタイム勤務でも保育・学童に頼れる選択肢
疲れを感じる根本的な原因のひとつが、「全部ひとりで抱えてしまうこと」。
2025年4月現在、自治体や地域によって利用できる子育て支援の選択肢も広がってきています。
支援サービス | 内容 | 特徴 |
---|---|---|
放課後児童クラブ(学童) | 小学1〜6年まで、18時〜19時まで預かり | 延長や長期休み対応あり(自治体により異なる) |
ファミリー・サポート | 地域の協力者が保育園・学童の送迎を補助 | 1時間500〜800円程度の負担 |
地域型一時預かり | 夜間や週末も対応する自治体委託型保育 | 予約制や登録制が多い |
民間の送迎付き学習塾 | 放課後から塾→自宅まで送迎つき学習支援 | 月額2万〜5万円前後、教育+安心の両立 |
疲れたときこそ「頼っていい」と自分に言い聞かせて、子どもと自分を守る手段として上手に活用することが大切です。
賢い働き方とは?「時短・フレックス・副業」の活用例
「フルタイムがきつい」と感じたとき、単に仕事を辞めるのではなく、“働き方そのものを見直す”という視点が必要です。
近年では以下のような柔軟な働き方を認める企業も増えています(2025年時点)。
働き方 | 特徴 | メリット |
---|---|---|
時短正社員 | 6時間労働・週30時間など契約により柔軟設定 | 社会保険あり、手当も維持しやすい |
フレックスタイム制 | コアタイム以外は自由に始業・終業時間を設定可能 | 保育送迎や通院、通勤混雑を回避できる |
副業・在宅ワーク | 平日の夜や土日に自宅で収入を得る働き方 | 本業に支障を出さず収入源を複数化できる |
こうした選択肢は「フルタイム勤務=毎日8時間労働」という固定観念を見直すきっかけになります。
▼こちらの記事にて、シングルマザーにおすすめの働き方をさらに詳しく解説しています。▶️ シングルマザーの賢い働き方とは?年収・手当・子育てと両立するヒント
「正社員じゃないと損?」という思い込みの再検討
多くの方が「正社員でなければ将来が不安」と考えがちですが、“正社員以外の働き方=損”というわけではありません。
実際、次のようなメリットを重視して、契約社員やパート・アルバイトを選ぶシングルマザーも少なくありません。
子どもの体調や学校行事に合わせて休みやすい
通勤時間が短く、家庭の時間が確保しやすい
就業時間が短いため、家事の負担が軽減される
副業や資格取得に時間を使いやすい
もちろん、正社員でないと受けられない福利厚生や賞与などはありますが、生活リズムや家庭環境に応じた“最適な働き方”を選ぶことの方が重要です。
疲れた時にすぐできるマインドケア3選
日々の忙しさのなかで限界を感じたとき、すぐに試せる簡単な「心のセルフケア」を取り入れるだけで、気持ちが大きく変わることもあります。
1. 呼吸に意識を向ける(1分だけでもOK)
深く吸って、ゆっくり吐く。これを5〜6回繰り返すだけで、副交感神経が働きリラックス効果が得られます。
2. 「やること」ではなく「できたこと」を数える
完璧を目指すと落ち込みやすくなります。今日は洗濯できた、ごはん作った、それだけで合格です。
3. 「〇〇しなきゃ」を「〇〇してもいい」に変える
「夕飯作らなきゃ」→「お惣菜で済ませてもいい」など、自分に優しくなる言葉の使い方を意識してみてください。
ほんの少しのマインド転換が、次の日の朝を穏やかに迎えるための第一歩になります。
相談できる相手・頼れる制度はどこにある?
「もう無理かも…」と感じたときこそ、“孤立しないこと”が最も大切です。
2025年4月現在、以下のような支援先が利用可能です。
支援窓口・制度 | 内容 |
---|---|
自治体のひとり親支援窓口 | 手当・保育・住居・就労支援などを総合的に案内 |
母子生活支援施設・子育て支援NPO | 住まいや育児で困難を抱える人の一時的な避難や相談支援 |
ファミリーサポートセンター | 学校・保育園の送迎、短時間の預かりを地域で補い合う制度 |
オンライン相談 | 女性支援団体・心理カウンセラーによる無料相談窓口あり |
また、孤立感を和らげるためには、
同じ立場の人の体験談を読む
SNSで無理のない範囲でつながる
自分が頑張ったことを「誰かに認めてもらう」場を持つ
など、小さな心の出口を日常に用意するだけでも気持ちは変わっていきます。
よくある質問Q&A10選(フルタイム×シングルマザー編)
Q1:フルタイムで働くシングルマザーは本当に多い?
A:厚労省調査では母子家庭の約44%が正規雇用。フルタイム勤務は一般的な選択肢です。
Q2:フルタイムだと児童扶養手当はもらえませんか?
A:年収約365万円を超えると支給停止の可能性が高くなります。
Q3:疲れて限界…辞めるべき?
A:辞める前に「働き方」「家事育児の外注」「休む時間の確保」を優先して検討しましょう。
Q4:時短勤務って実際どうなんですか?
A:手取りは減りますが、時間的・心理的余裕が生まれ、子育てとの両立がしやすくなります。
Q5:正社員をやめたら損ですか?
A:「損得」ではなく、家計・子育て・健康をトータルで見て最適な働き方を考えることが大切です。
Q6:夕飯づくりが一番つらいです…。
A:冷凍食品・惣菜・ミールキットの活用や週末のまとめ調理でストレスを大きく軽減できます。
Q7:小学生の子がいて学童が終わると困ります。
A:地域のファミサポや送迎つき習い事サービス、親族の協力を検討してみてください。
Q8:家計がギリギリです。何か支援制度ありますか?
A:自治体の生活支援金、母子福祉貸付金、就労支援講座など複数の制度があります。
Q9:きつすぎて誰にも相談できません…。
A:自治体窓口やNPO、LINE相談など、匿名・無料で使える支援が整備されています。
Q10:毎日が精一杯。自分の時間が欲しいです。
A:「15分だけでも自分のための時間を確保する」ことを習慣化していくのが第一歩です。
シングルマザーでフルタイムはきつい?疲れた時の対処法と両立のコツのまとめ
- フルタイム勤務のシングルマザーは約44%、就業率は80%超
- 放課後や夕飯準備の時間帯に負担が集中しやすい
- フルタイムでも手当や支援制度が減ることに注意
- 疲れを感じたら「やらないことを決める」整理術が有効
- 夜の家事は時短ルーチンや自動化で軽減できる
- 学童・ファミサポなど地域支援を活用することが大切
- 「賢い働き方」は時短・副業・フレックスなど多様化が進行
- 正社員以外でも生活安定や子育てとの両立は可能
- マインドケアには呼吸法や言葉の置き換えが効果的
- 悩んだ時は自治体やNPOなどの相談窓口を活用
【あわせて読みたい関連記事】
【本記事の関連ハッシュタグ】